「治す」と「消す」の違い。

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(1) 症状を「消す」とは?

風邪をひく、という現象があります。
咳や鼻水が出たり、熱が出たりして、苦しいですね。

これは、ウィルスが体に入ってきた、ということです。

体に入ってきたウィルスは、免疫細胞が迎え撃ちます。

免疫細胞が戦うと「炎症(痛み・かゆみ・発熱など)」が起こるんでしたね。

また、体には「いらないものを排除」する機能もあるんでしたね。

すると、口から吸い込んだウィルスを排除するために咳が出ます。
鼻から入ってきたものは鼻水で流します。

咳・鼻水・熱といった風邪の諸症状は、「ホメオスタシス」が働いている証拠です。

でもこの現象、とっても不快で苦しいですね。

だから、

「戦ってる細胞を止めたろ!」
「排泄を止めたろ!」

というのが、いわゆる風邪薬(感冒薬)の役目です。

免疫の働きを止めるのですから、もちろん、体に入った風邪のウィルスは野放しで、増殖し放題です。

・・・これで不快な症状がなくなって、果たして「治る」と言えるでしょうか?

薬を飲むと風邪が長引く、といわれることがあります。

それは、不快な“症状”を「消す」ために、免疫細胞の働きを一旦止めているからです。

“症状”は、体が何かと戦ってますよ、という合図です。

熱を持ったり、赤くなったりするのは、「ここで火事が起った!」と知らせてくれる火災報知器が鳴っているということです。

薬で症状を「消す」のは、火を消すんじゃなく、「警報を止める」ことなんですね。

薬をやめるとぶり返す、などと言いますが、それは「当然」です。

警報を止めたって火事は収まりませんもんね
 

(2) 症状を「治す」には?

では、症状を「消す」のではなく、「治す」にはどうすればよいでしょうか?

答えは、免疫細胞にさっさとウィルスをやっつけてもらって、戦いで出たゴミをさっさと排泄してもらえばよいだけです。

風邪の場合、

“水分をとって”“体を温めて”“安静にする”、

これだけです。

何か加えるとしたら、免疫が働くとビタミンやミネラルをたくさん使うので、その補給くらいでしょうか。

つまり、「味噌汁飲んで布団かぶって寝ろ!」ということです(笑)。

風邪ウィルスにやられるくらい気力体力が落ちてるんだから、ゆっくり休みなさい、ということなんですね。

このように、風邪を例に考えると症状を「消す」ことと「治す」ことは、違うのだということがよく分かって頂けると思います。

風邪に限らず、症状が出ている、ということは、「何かに襲撃されてますよ!」「いらないものが、オシッコから排泄できませんよ!」という体からの合図です。

「治す」ということは、襲撃している何かをやっつけること、いらないものをちゃんと排泄すること、ではないでしょうか?

それならば、せっかく出してくれる合図を「消す」ことだけに集中してしまうのは、もったいなくはありませんか?

かゆみや痛みがひどかったり、出血したりという症状は、本犬もツライでしょう。
見ている飼い主さんも心穏やかではいられないですよね。

現実として、かゆみや痛みがひどいとストレスがたまりますし(後述しますが、ストレスが酷いとホメオスタシスが働きにくくなります)、出血すれば、そこから新たに雑菌が感染したりして、どんどん悪い方に傾いていく可能性もあります。

そういう場合は、いったん、お薬で症状を「消して」、心と体を楽にしても良いと思います。

でも、楽になった状態で安心してしまい、“原因”をほうっておくと、「薬をやめるとまたぶり返す・・・」ということになってしまいます。

症状が出るにはなにか原因があるはずです。

“本当の原因”を探って対処する、本当の意味での「治す」ということではないでしょうか。
 

(3) 獣医さんの役目、飼い主さんの役目

症状を消す=治療するエキスパートは獣医さんです。

その部分に関しては、獣医さんに協力してもらうのが1番でしょう。

でも、症状が出る本当の原因が、例えば、エアコンの中のカビだったり、床にひそむダニだったりした場合、エアコンや床の掃除をするのは誰でしょうか?

獣医さんはしてくれませんよね(笑)。

それをしてあげられるのは、飼い主さんだけです。

(ま、エアコンを掃除するのはお掃除業者さんかもしれませんが、、、業者さんに頼むのは飼い主さんですよね(笑)。)

もし、症状が出ている“本当の原因”がエアコンのカビだった場合、症状が出ている本犬だけじゃなく、その家に住む家族全員に悪い影響が出ますね。

ワンちゃんは体が小さいので、病原体の影響を受けやすく、症状として現れただけで、人間の家族も「いつも頭痛がする」「鼻がムズムズする」など、ちょっとした不調が出ているかもしれません。

カビが家中にまき散らされている中で暮らす、というのは、ずーっと免疫力を働かせている状態になります。

細胞は疲れるし、エアコンのカビ以外の病原体(例えばガン細胞)などへの対処が弱くなってしまうこともあり得ます。

ワンちゃんの症状の“本当の原因”を探って、「エアコンを掃除しよう!」にたどり着けるということは、ワンちゃんだけじゃなく、家族全員の健康を守る結果につながる、かもしれません。

この場合「症状」は、「エアコンを掃除しないと家族全員、酷いことになるよ!という合図」ともいえます。

そう考えると、「症状」ってありがたいなぁ、なーんて思えませんでしょうか?